遺伝子の発現を調節する機能を持つ物質であるmicroRNAの血液内濃度を測定し、癌を早期発見する検査の実用化が進んでいる。

例えば、肺癌などの種類を特定する microRNAの血中濃度を解析する検査が開始され精度は90%を超えるとされ、その他、乳癌に罹患していることを99%の精度で判定可能な検査もある。

また、尿に含まれる癌の匂いに集まる性質を持った体長1ミリメートルの線虫を利用して、胃や大腸など15種類の癌に罹患の可能性を判定する検査もあり、85%の精度が認められる。消化管における癌の精査の第一選択として、まず尿中における線虫を利用したり、血液中のmicroRNA検査を測定し、異常が認められた場合にはじめて内視鏡検査を行い腫瘍があれば早期の段階で発見・切除する。

従来のような侵襲の高い検査を行う前に、できるだけ身体に優しい非侵襲性検査で癌を早期発見し、次のステップへ移行することが患者のQOLにもつながると考えられる。ただ、体液検査には課題もあり、誤判定や、癌を見逃すリスクがなお残り、画像診断では描出されない早期癌の場合、これまで以上に多くの検査が必要になる恐れもある。

今後、精度の向上に加え、早期発見が治療成績の向上や医療費の削減に繋がるというエビデンスを蓄積することが重要となる。