血液中に含まれるマイクロRNA(microRNA)を癌のバイオマーカーとして、13種類の癌を同時診断する検査システムの開発が進み、実用化が近づいている。「1滴の血液や尿で、がんが分かる時代へ」と題したメディアセミナーが開催され、microRNAによるリキッドバイオプシーの精度や実用化に向けた動きなどについての発表があった。

胃癌患者では、4つのmicroRNA(microR‑17‑5p, ‑21, ‑106a, ‑106b)の発現量が健常人よりも高く、let‑7aは低いことが示唆されている。

また、microRNAは血液中だけでなく便、尿、喀痰、唾液などを用い たmicroRNA発現量解析もいくつか報告され、大腸癌患者の便ではmicroRNA‑21、92a、135および17‑92 cluster発現量が高いことが報告されている。

このように、癌患者の血漿・血清・便・尿・喀痰・唾液などで特異的に発現量が変化しているmicroRNAを、癌の診断や予後予測のバイオマーカーとして使用することが期待されている。

一滴の血液から診断されるという非侵襲的であることも含め、早期のスクリーニングツールとしては非常に有力だと考えられ、大腸癌では感度99%/特異度89%であり、microRNAが癌のバイオマーカーとしての高い感度を有することが確認されている。

このように、早期の段階で大腸癌を発見可能なmicroRNAをスクリーニングとして使用し、異常値の場合に内視鏡検査を行い早期癌があれば切除するという、従来の大腸癌診断治療とは異なる方法が確立されていくと思われる。