昭和20年代に開発された胃内視鏡は、上部消化管病変の診断・治療において多大な貢献に寄与している。以後、管径も細径化し、画質も向上するなど目覚ましい進化を遂げているが、管状の内視鏡を生体内に挿入する方法は開発当時と変化していない。

大腸内視鏡検査も同様に管状の内視鏡を使用するが、被験者の腸管に癒着がある場合は検査時に疼痛を伴ったり、穿孔が偶発するなど重大な合併症が発生する。

この状況を打開するためにイスラエルのギブン社が大腸カプセル内視鏡を開発した。コンセプトとしては画期的であり上記の危険性は回避できるが、自走式でないため様々な改良点が残っている。

当院、医潤会内視鏡クリニックは、ドローンによる自走式カプセル内視鏡の特許を取得し、形状をカプセル型からタブレット型に変化させた自走式タブレット型内視鏡の開発に着手した。Asynmetry3枚プロペラを制御した揚力により、管状の大腸だけでなく、袋状の胃にも応用可能である。

これにより、将来、タブレット型内視鏡を服用するという非侵襲的検査が普及し、パソコンを介在した遠隔操作によるリモート検査が確立すると考えられる。