2025.05.18
食道アカラシア
食道アカラシアは、下部食道括約筋(lower esophageal sphincter:LES)の弛緩不全と食道体部の正常蠕動の消失により、食道から胃への通過障害を引き起こす食道運動機能障害です。
近年診断や治療技術の進歩により、より精度の高い診断やQOLの向上が得られますが、一方で症状、身体所見や内視鏡所見に高精度かつ特異的なものはなく、疑わしい症例を積極的に専門施設に早期に紹介することが望ましいと考えます。
10万人に1人程度の頻度で発症する比較的稀な疾患です。明らかな性差や年齢差の報告はありません。アカラシアの症状としては嚥下困難・つかえ感、胸焼け、胸痛といった胃食道逆流症様の症状を呈し、その他には咳・喘息症状、慢性的な誤嚥や咽頭痛・嗄声などを認めることもあります。ただアカラシアだけに特異的な所見はなく症状だけで積極的に診断することが困難です。
アカラシアの診断としては原則としてまずは悪性腫瘍など器質的疾患の除外を行い、その上で上部消化管内視鏡検査や食道造影検査、高解像度食道内圧検査(HRM:high resolution manometry)などの所見から総合的に診断することが必要です。