近年、食事の欧米化のため、食道胃接合部(esophgogastric junction :EGJ)への胃酸逆流による、食道扁平上皮が円柱上皮化し、Barrett食道を背景とした食道腺癌が本邦において発生の増加を見ている。

Barrett食道は、扁平上皮の円柱上皮化病変の長さにより、短いShort segment Barrett’s esophagus (SSBE)と長いLong segment Barrett’s esophagus (LSBE)に分けられる。

SSBEに由来するBarrett食道癌は、扁平円柱上皮接合部(squamo-columnar junction :SCJ)と接していることが多く扁平上皮下進展を考慮する必要があり、内視鏡検査時には、粘膜の色調変化、異常血管、小孔などの所見を伴い、ESDによる治療時には、扁平上皮下進展口側境界からsafety marginの1cm確保は重要となる。

LSBEに由来するBarrett食道癌は、多発性でⅡb進展も多く側方進展範囲診断が困難であるため拡大内視鏡検査による観察が必要であり、範囲診断が難しい場合は、胃の低分化腺癌同様、拡大内視鏡で想定した境界の外側より生検し陰性確認のうえESDを行うことが重要である。

食道癌が再発した場合、治療は困難を要するため、今後、SSBEとLSBEにおけるさらなる内視鏡的および病理学的診断基準の研究による治療への応用が必要となる。