小腸に発生する悪性腫瘍には神経内分泌腫瘍や腺癌などがあるが、稀な疾患であり、発生部位の特異性から発見・診断に苦慮する場合が多い。

下血や進行性貧血の症状に対し、胃・大腸内視鏡検査で異常が認められなかった場合に、最終的に病変が疑われる小腸に対し、以前は小腸造影検査が行われていた。しかし、全長6から7メートルを有する小腸に充満した白色の造影剤のため読影が困難な場合がある。

そのため、最近は、ダブルバルーン小腸内視鏡検査が行われることが多い。

スコープ先端と外筒に装着された2つのバルーンを膨らませることで、腸管を傷つけずにスコープやスコープ外筒を腸管の任意の位置に固定し、この2つのバルーンおよびスコープと外筒を交互に進めていく。また、バルーンを膨らませた状態でスコープや外筒を引くことにより小腸を短縮させることが可能となる。

ただ、小腸は非常に長い管腔臓器であるため、経肛門的および経口的挿入による検査が必要となる場合があり、長時間に及ぶため被検者にとっては非常に苦痛を伴い、また、透視による被曝や穿孔の危険性などの合併症・偶発症もある。

これらの欠点や弱点を補うため小腸カプセル内視鏡が開発された。

小腸に狭窄や閉塞病変がある場合に小腸カプセル内視鏡の回収が困難になるため、まず、消化管開通性試験のために、小腸カプセル内視鏡と同じサイズのパテンシーカプセルを服用する。小腸開通確認後、一方の先端に撮影および画像送信機能が装着された小腸カプセル内視鏡を服用し、腹部に張り付けセンサーを通して送信された画像はレコーダに記録される。

小腸カプセル内視鏡検査はほとんど苦痛がなく、病変描出精度も優れており、現在、小腸カプセル内視鏡検査は,小腸の最も重要な検査法である。

現在、通常の生検に代わる光学的生検のプロジェクトも進んでおり、小腸カプセル内視鏡検査は小腸検査の主流となると思われる。