胃内視鏡検査を受ける際の留意点
胃内視鏡検査を受ける場合、以下についてホームページや内視鏡担当医に確認して下さい。
1「検査実績数や経験値」
現在は、経鼻内視鏡も開発され、以前のような経口内視鏡による嘔吐反射もなく、被検者自身もほぼ苦痛は感じません。
そのため、胃内視鏡検査は大腸内視鏡検査に比べて、内視鏡医として技術的には難しくありません。
ただ、本邦でのピロリ菌陽性率は、50才以上では70~80%と高率であり、胃癌の発生母地である萎縮性胃炎を発症している症例も多く認めます。
ピロリ菌陽性者のほとんどが幼少時に経口感染し、数十年という長期間を経て粘膜を侵食し萎縮を惹起するために、早期の段階での萎縮診断は難しい場合が多いです。
また、内視鏡検査時、ピロリ菌による萎縮性胃炎が背景にある胃では、平坦な早期癌の発見が困難な場合があり、内視鏡医の技術よりも診断能力が重要になります。
これらの診断能力は、実績数や経験値に比例するため、予め確認しておく必要があります。
2「除菌体制の有無」
胃癌症例のほとんどがピロリ菌陽性または既往ですが、除菌により胃癌発症の危険性は低下します。
そのため、胃内視鏡検査で胃潰瘍や萎縮性胃炎などが認められると、ピロリ菌検査を施行し、陽性の場合は1次除菌 が必要となります。
成功率は90%以上で、不成功の場合は2次除菌となります。
ただし保険診療は2次除菌治療までの適応となり、2次除菌不成功症例に対する3次除菌以降は自由診療になります。
ピロリ菌検査は、通常、初回は採血によるピロリ菌抗体検査で、除菌後効果判定は呼気検査(UBT)や便検査で行われます。
ピロリ菌検査や除菌治療は胃癌に関わる重要な事項のため、ピロリ菌に対する検査・治療の手順が整備されている必要があります。
3「検査後の説明」
検査後、病変の有無・病変の種類や大きさなどの詳細な説明がなされ、手術的処置が必要な場合は、信頼できる提携先病院への紹介が可能であるなどの体制が必要です。
また、ピロリ菌陽性は胃癌に関係する重要な事象であるため、粘膜の的確な診断がなされ、写真添付された書類により、ピロリ菌の検査・除菌・今後の注意点などが丁寧に説明されていることも重要です。
4「最先端機器設備」
医師診断能力を補助するデバイスとして、特殊光を併用して病変部を観察するNBI内視鏡が開発されています。
これら最先端内視鏡機器が設置されている施設では、より詳細な早期悪性腫瘍の診断が可能となります。特に、早期食道癌の発見には非常に有用です。
5「検査後または処置後の緊急連絡体制」
最も重要な事項です。
帰宅後、検査による体調不良や不測の事態に対する緊急連絡体制として、施設(主治医)の夜間緊急携帯電話番号などが提示されている必要があります。
以上は、胃内視鏡検査を受ける際に、特に重要な事項です。これらの体制が整備されている内視鏡施設で検査を受けることをお勧めします。