PCF大腸内視鏡
超細径大腸カメラ(PCF)は、超細径超軟性、高伝達挿入部、受動湾曲の3要素の組み合わさった内視鏡機器で、腹部手術既往・婦人科疾患などの腸管癒着による挿入困難例に対して使用します。
PCFは、直径約10mmと細く、また方向転換時に屈曲する内視鏡先端に続く後方部が柔らかい構造となっています。
そのため、癒着による腸管の急峻な屈曲部を通過する時に、受動湾曲により後方部の湾曲半径が徐々に大きくなり、屈曲部をゆっくりと鈍角化しながら挿入できます。
胃・肝臓・膵臓・大腸・子宮・卵巣などの腹部手術の既往があると、大腸が隣接する臓器(大腸腸間膜・腹壁・大網など)と癒着し、特にS状結腸に急峻な屈曲部が発生します。
S状結腸に強固な癒着があると、S状結腸の短縮・直線化時に癒着部分が引っ張られ疼痛や穿孔の原因になります。
強固な癒着の場合は、麻酔による疼痛の軽減も不可能になり、鎮静下状態でも疼痛が発生します。また、完全な鎮静下にある被検者は、自身の腹腔内で発生している異常を内視鏡医に訴えることができないため、内視鏡医が気づかずに挿入を続け、最悪の場合、穿孔(腸管に穴があく)が発生します。穿孔が発生した場合は、緊急開腹手術になり一期的人工肛門造設の可能性もあります。
内視鏡医は、このような危険性を把握し、直ちに挿入を中止できる経験値を有していることが必須です。
そして、PCF大腸カメラなどの別の挿入手段の内視鏡検査に変更する必要があります。
また、挿入中止した場合、内視鏡抜去した部位より口側腸管を検索する必要があるため、PCF大腸内視鏡以外の大腸CT・カプセル内視鏡などの別の検査手段も有用です。