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Columnコラム

糞便移植、C. difficile感染症の一次治療になり得る可能性

クロストリジウム・ディフィシル感染症(Clostridioides difficile infection:CDI)は、抗菌薬使用後に発症することの多い腸管感染症で、特に高齢者や入院患者において再発の多い難治性疾患として知られています。従来、CDIの治療はバンコマイシンやフィダキソマイシンなどの抗菌薬が中心でしたが、近年では糞便微生物移植(FMT:Fecal Microbiota Transplantation)が注目を集めています。

FMTは、健康なドナーから採取した腸内細菌を患者に移植することで腸内環境をリセットし、病的な細菌の過剰増殖を抑制する治療法です。これまで主に抗菌薬治療で効果が得られなかった再発性CDIに対する選択肢とされてきましたが、最近の研究では初発CDIに対してもFMTが高い治療効果を示すことが報告され始めています。

最近発表されたランダム化比較試験では、初発CDI患者に対するFMTが、標準的な抗菌薬治療と比較して再発率を有意に低下させ、臨床的治癒率も同等以上であることが示されました。これにより、FMTが再発予防を重視した一次治療の選択肢としての可能性を示唆する結果となっています。

日本においては、FMTの導入・普及はまだ限定的ですが、今後の臨床研究の進展とともに、保険診療下での適応拡大も期待されています。CDIの治療戦略は大きく変わる可能性があり、腸内細菌叢をターゲットとした次世代治療としてのFMTの動向に、今後も注目が必要です。