2025.07.19
日本初の吸収性食道ステントがもたらす新たな治療選択肢
国立がん研究センターは2025年6月3日、同センター東病院とパイオラックスメディカルデバイスが共同開発した「ELLA-BDステントPX」が3月7日付で薬事承認を取得し、日本初の吸収性食道用ステントとして保険適用申請を進めると発表しました。
食道がんに対する標準治療は外科手術ですが、早期の場合は内視鏡切除が推奨されます。しかし、内視鏡的粘膜下層剥離術後に良性の食道狭窄が生じることがあり、これまでバルーン拡張術やブジー法などが行われてきましたが、再発を繰り返す難治例では嚥下障害や生活の質の低下が問題となっていました。
「ELLA-BDステントPX」は、生分解性素材のポリジオキサノン(外科用縫合糸にも使われる安全性の高い素材)で作られており、体内に留置後約3ヵ月で自然に分解・吸収されるため、従来必要だったステント抜去が不要になります。これにより、患者の負担軽減やQOL改善が期待されています。今後、 新たな特定保険医療材料区分での保険適用の手続きを行う予定といわれています。